- NFTが何なのか初心者にわかりやすく教えて!
- NFTはどんなふうに活用される?
- 現状のNFTの課題は?
NFTについて調べても、それがどんな技術で何がすごいのかをわかりやすくまとめている情報は少ないです。
そこで今回は仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーンの知識があまりない初心者向けに、
- NFTの定義
- NFTの6つの活用方法
- 日本NFT市場の3つの課題
を解説。記事全体でNFTに関する実際の事例を紹介しながら説明するので、その革新性をすんなり理解できます。
この記事でNFTの基本知識はバッチリ。NFTが人々の生活にどう役立つのか、投資先としてどれくらい魅力的なのかがわかりますよ。
- 2017年〜仮想通貨投資家
- NFT資産額は約700万円
- Defiで200万円ほど運用
- 資産運用とブログで生活
NFTとはこの世に1つのデジタルデータ
NFTはNon-Fungible Token(非代替性トークン)の略。非代替性とは、他では替えがきかないこの世に1つの存在という意味です。
画像や音楽、動画などのデジタルデータは全てNFT化が可能。
↑は発行から約1年でおよそ950億円の取引高があるBored Ape Yacht Club(通称BAYC:ベイシー)というNFTコレクションの1枚。2022年9月現在で、1枚2,200万円ほどで取引されています。
同じテーマのNFT画像を複数発行したもの。たとえばBAYCは上記のようなサルの画像が1万種類ある
NFTはこの世に1つという特性をブロックチェーン技術で保証しています。つまり、これまでに
- 誰が
- いつ
- いくらで
取引したのかが世界中のサーバーに分散記録されているのです。先ほどの#5439番BAYCの取引ページでも、過去の取引記録↓を確認できます。
上記を見ると、
- 8ヶ月前に「ForeverBORED」が「BeJaDo-Vault」から37ETHで買った
- 8ヶ月前に「ForeverBORED」が「564D52(おそらく本人の別アカウント)」に送った
- 6時間前に「bchang2001-Vault」が「564D52」から83ETHで買った
とわかりますね。
NFTは誰でもカンタンに発行が可能。でも過去取引は改ざん不可能なブロックチェーンに記録されているので、本物が証明できるのです。
ちなみにNFTは転売時も運営者に収益(Creator Fees)が入ります。BAYCはCreator Feesが2.5%なので、↑の1と3の取引ではそれぞれ約2ETH・0.9ETHが運営者収入です。
NFTの活用方法6選
「本物はこの世に1つ」というNFTの特性を使った実際の活用方法を6つ紹介します。
- デジタル美術品
- デジタル上のファッションアイテム
- パスポートNFT(会員権)
- BCG(ブロックチェーンゲーム)内のアイテム
- デジタルNFT証明書
- 金融資産(担保にしてお金を借りる・貸し付けで利回りを得る)
順に解説します。
デジタル美術品
↑はBeepleというイギリス人芸術家が描いた5,000枚の絵を使った「Everydays:The First 5000 Days」というNFT画像です。この作品は2021年3月にオークションで約75億円で落札されました。
同じく2021年3月に、Twitter創業者のジャック・ドーシーによる初ツイート↓のNFT画像は約3億円で落札されています。
デジタルデータは(誰でもコピーできるために)これまで価値が付きませんでした。ジャック・ドーシーの初ツイート画像も、本人が売り出したところで買う人はいなかったでしょう。
でもNFTなら本物だと証明できるので、デジタルデータに価値が付くのです。
デジタル上のファッションアイテム
TwitterやインスタなどのSNSアイコンでNFTを使えば、
- 自分の価値観
- 価値あるブランド品を持っている
といったことがアピールできます。デジタル空間で、現実世界の服装や時計などのファッションアイテムに代わるものがNFTなのです。
Twitterで六角形のアイコン↓を見たことはないでしょうか。NFTをTwitterアイコンに設定すると六角形で表示されます。
アイコンをタップすれば、そのNFTの詳細がわかります↓
kanerinさんはCrypto Ninjaをアイコンにして、
- 「日本のクリエイターを応援する」というCrypto Ninjaの理念への共感
- 自分はブランド力のあるNFT(Crypto Ninjaの価格は数百万円)を持っている
といったことを暗にアピールしているわけです。
現時点でファッションとしてのNFTの使い道はSNSのプロフィールアイコンくらい。
ですが、VRやソードアートオンラインのような人間の五感全てをデジタル世界に移せるフルダイブ技術が発展すれば、デジタル上の服や靴・時計・アバターなどでNFTが使われることになります。
パスポートNFT(会員権)
パスポートNFTとは、それを持つことで特典やサービスを受けられる会員権のようなNFTです。有名なパスポートNFTは、
など。上記のNFT保有で得られるメリットをそれぞれ紹介します。
PREMINT
PREMINTは持っていると将来有望な新規NFTプロジェクトの優先購入権が抽選で当たったり、保有者限定のNFTに関するメルマガを読めたりします。
たとえば2022年4月、PREMINT保有者が100万円で抽選購入(当選確率1/500)できたMoonbirdsというNFTは、一般販売時に1,200万円で取引されました。
NFT Marketing Orchestra
NFT Marketing Orchestra(通称NMO)はその名のとおり、NFTマーケティングの攻略を目的としたコミュニティのパスポートNFTです。
NMOを持てばさまざまなNFTプロジェクトの、
- 販売戦略:初期価格や販売数の適正さ(今後値上がりを期待できるか)
- コミュニティ活性度:プロジェクトを応援し、盛り上げる人たちがどれくらいいるか
などの分析情報を知ることが可能。NFT運営者・投資家の両方にとって有益な情報源になっています。
» NFT Marketing Orchestra公式サイト
NMOには公式Discordがあり、参加は誰でも無料です。ですが上記のようなNFT分析情報などはNMOホルダーしか見られないチャンネルにあります。
↑がNMO公式Discordの画面。NMOを保有するウォレットをつなげると、限定チャンネルが見られるようになります。
パスポートNFTは有料オンライサロンと変わらないと思う人がいるかもしれませんが、決定的に違う点が1つあります。それは不要になったら売れるということ。
PREMINTもNMOもOpenSeaというNFTマーケットプレイスでいつでも売買できます。NMOはリリース時の2022年の3月なら15,000円ほどで買えましたが、現在は約15万円です。
BCG(ブロックチェーンゲーム)内のアイテム
BCGとは、STEPNなどのプレイすると仮想通貨を稼げるゲームのこと。Move to Earn(歩いて稼ぐ)、Play to Earn(遊んで稼ぐ)といったキーワードで知られています。
BCGはゲーム内のアイテムをNFTにすることで価値を生み出しています。たとえばSTEPNはゲーム内で使う靴↓がNFTです。
このNFT靴をユーザー同士が数万〜数百万円で売買しています。ゲーム内のアイテムにそれほど価値が付くのは、本物を証明できるこの世に1つのNFTだからこそです。
もしSTEPNの靴がNFTではなかったら、運営が儲けるためにこっそり靴を追加で大量発行しても誰も気付きません。そうなれば靴の供給が大幅に増え、価格は暴落するでしょう。
ゲーム内アイテムがNFTであれば、発行元・発行数や取引履歴などの全ての記録を誰でも確かめられます。だからこそ価値は保証され、ユーザーは安心して売買ができるのです。
デジタルNFT証明書
デジタルNFT証明書はその名のとおり、公的書類などをNFT化したものです。たとえばマイナンバーカードや免許証をNFTにすれば偽物はカンタンに見抜けますし、現物を管理する手間もありません。
2022年3月には、ソニー・電通・シビラの3社が共同で個人の学びや活動実績をNFT化する実証実験を開始しました。
学歴や会社での活動・実績などをNFTにすれば、個人のスキルや経験を客観的に証明できます。
デジタルNFT証明書が本人以外に渡ったら意味がない!と思う人もいるかもしれませんが、それを解決するSoulbound token(譲渡不可能なNFT)という技術も出てきています。
金融資産(担保にしてお金を借りる・貸し付けで利回りを得る)
NFTFiと呼ばれる、NFTを預けることで担保にして借入をしたり利息収入を得たりできるサービスがあります。
たとえばBendDAO↑では、
- NFTを担保に評価額の40%にあたる額のETHを年利0.11%で借りる
- NFTを預け入れ、評価額の17%にあたる年リターン(Bendという仮想通貨)を受けとる
といったことができます。
NFTFiがもっと進歩すれば、株や不動産のように金融資産としてNFTを持つ人が増えていくでしょう。
日本NFT市場の3つの課題
NFTの革新的な面ばかりを書いてきましたが、現状の日本NFT市場には3つの課題があります。
- 初心者がNFTを購入・管理するハードルが高い
- ネットワーク手数料(ガス代)が高い
- 法整備が追いついておらず、運営者の訴訟リスクや税金の手間とコストが高い
順に解説します。
初心者がNFTを購入・管理するハードルが高い
世界最大のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaでNFTを買うためには、
- 国内仮想通貨取引所口座を開設してETHを買う
- 仮想通貨ウォレットMetaMaskをインストールしてセットアップ
- 国内取引所から1のETHをERC20ネットワークでMetaMaskへ送金
- MetaMaskをOpenSeaに接続
という手順が必要。仮想通貨初心者には意味がわからないと思います。
いざNFTを買おうとしても送金ミスでお金を失ったり、本物そっくりの偽MetaMaskをインストールして仮想通貨を盗まれたり、OpenSeaで偽物のNFTを買ってしまったりとワナがいっぱいです。
NFTを買ったあとも、日々新しく出てくる詐欺手法やハッキング被害でNFTを盗まれる人が後を絶ちません。
この初心者の購入・管理ハードルの高さがNFTの最も大きな課題です。誰でも安全にNFTを買えるまでには、まだ時間がかかるでしょう...
OpenSeaでNFTを買う具体的な手順は、以下の記事で解説しています。
またNFTを盗まれないためにどう対策すべきか知りたい方は、以下の記事を読んでください。
ネットワーク手数料(ガス代)が高い
OpenSeaでNFTの売買をするには、1回の取引ごとにネットワーク手数料(通称ガス代)数百円がかかります。
取引は具体的には、
- NFTの購入
- NFTのリスト(自分が売ってもいい金額の提示)
- NFTを別のウォレットへ送る
など。これらを1回するたびに数百円分のETHを払わなければなりません。
ガス代はOpenSeaではなくイーサリアムチェーンを管理する人たち(マイナー)へ支払われます。
ブロックチェーンの1種。Ehtereumの他にもPolygon、Solana、Fantomなどさまざまなチェーンがある
NFTとは何なのかを説明したときに、過去取引の履歴が世界中のサーバーに分散記録されていると説明しました。この記録作業はマイナーがガス代をもらうためにやっているのです。
ただ、この高額なガス代は2022年中の「The Merge」というイーサリアムチェーンのアップデートで安くなります。The Mergeについて詳しく知りたい方は以下の記事を読んでください。
» 待望のPoSへ、イーサリアム大型アップグレード第一弾「The Merge」を詳細に解説
法整備が追いついておらず、運営者の訴訟リスクや税金管理のコストが高い
NFTは2017年に生まれたばかりの技術なので、まだ法整備が追いついていません。今の日本のNFTプロジェクト運営者は訴訟リスクを抱えながら活動しています。
たとえばNFTの販売手法でよく使われるリビールが賭博法違反ではないかという議論があります。
販売時は画像の絵柄が隠されていて、将来の特定時点で絵柄が明らかになるセールス手法。リビールでレア度の高いNFTが出れば価格が上がり、低いと下がるのが一般的
資産価値があるNFTにランダム性をもたせること = ギャンブルだと認められれば、賭博法違反になります。BCGも換金できるゲーム内アイテムにランダム性があるという点で同様です。
またNFTや仮想通貨にかかる税金の管理も複雑です。具体的には、
- NFT購入時の価格
- NFT取引にかかったガス代などの手数料
- NFT販売時の価格
- BCGでアイテムを取得・強化・取引したときの価格やコスト
を管理し、年間20万円以上の利益が出ると確定申告が必要。
しかもこれらの計算は、NFTの価格・売買に使った仮想通貨の価格両方を考えなければなりません。
NFTや仮想通貨の税金管理を詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでください。
(後日公開予定)
日本人でNFTを買ったことがある人は約1万人
日本人のNFT保有者は推定1万人、全人口のたった0.008%。この革新的な技術に最初期から触れることは経験・投資として大きな意味があります。
本記事でNFTの革新的なところと課題を解説しましたが、実際にさわってみないとその本質はつかめません。
- アイコンにして同じコレクションを応援する人とつながる
- NFT保有者限定のコミュニティに入る
- 投資として買って値動きを体感する
など、ぜひそのおもしろさに触れてみてください。
総額700万円ほどのNFTを保有している筆者オススメのコレクションは、以下の記事で紹介しています。
(後日公開予定)
またOpenSeaでNFTを買う具体的な手順が知りたい方は、以下の記事を読んでください。